『奇跡の詩』に収録されている曲の中から、個人的に「この曲について書きたい」と思った曲を紹介してみます。
「がじゅまるの木の下で」は1990年代前半の寿[kotobuki]の代表曲ともいえそうな曲です。
最初は歌詞の凄さに気が付かなかったのですが、いつの頃からか「これは凄い曲だ」と思うようになりました。
「青空の下と 焼け野原の上で
みんなつかまって 身ぐるみははがされ
お米もとられて おばさんは死んで おばあさんまでも死んでしまって」
(作詞・作曲 ナーグシクヨシミツ)
この残酷な歌詞を、とっても明るい弾んだメロディで、しかも、当時はまだうら若い小娘(失礼!)が、あっけらか〜んと歌ってしまうのが、なんとも不思議です。
このDVDのためにヨシミツさんにインタビューをした時に、なんであんなに暗い内容の歌詞なのにあんなに明るい曲なのか、聞いてみました。
答えは、「自分は戦争の悲しい事とかつらい事とかをテーマにする時に、悲しい感じの曲には書けないんですよ」というものでした。う〜む、なんだか凄い!
しかもこの曲、続いての歌詞では「さぁ みんな私のもとから奪ってしまえ」などと自虐的な事まで言い始めます。
しかし、結果的には、諦念が真理に目覚めた確信に変わったのか、どんな目にあっても魂は生きてる!、と言い放ちます。

その場で聞いている人たちに歌詞がどの程度、聞こえているのかはわかりませんが、音楽が永遠の魂への祝祭に変わる時には、その昂揚感に人々は一緒に歌い踊らずにはいられなくなります。
ちなみにDVDには、伝説の初出演時である1995年と1998年のふたつのバージョンがフルで収録しています。どちらも客席が盛り上がっていく様が記録されていて、凄い映像。