『奇跡の詩』のタイトル文字を書いてくれたのは、私の師匠であるイ・マデ・チャ(本当はステジャだけどこう呼ばれています)氏です。
バリで日本から持参した筆ペンを持ち、パソコンで特典映像を観ながら宿でタイトル文字を書いている時に、ふっとバリ人が書いてみたら面白いかも、、、と思い、見本を書いて翌日のレッスンでお願いしました。
最初は「僕は日本語が書けないから無理〜」と言ってたけど見本を見せたら俄然やる気になり、その翌日にはこの完成品が出来てました。
師匠は仮面舞踊と”ガンブー”という日本で言えば能のような古典芸能で有名な舞踊家一族に生まれ子供の時からず〜〜〜っと踊っていますが、バトゥアンスタイルという細密画の画家でもあります。
私が行っている間も、絵描きとしての仕事も忙しく、現代バリ人画家の作品集が今年だか来年だかにヨーロッパの方で出版されるそうで(偶然にもカメラマンは日本人でした!)私も撮影場所に絵を運ぶ手伝いをしたりもしましたが、とにかく細かいので一枚書き上げるのにすごい膨大な時間がかかります。
朝、レッスンに行くと絵の締め切りがあるのでほぼ徹夜で描いていたと言って目の下クマコさんのげんなりジラーで遠い空を見つめる姿だった事が何度かありました。
また、家がもぬけの殻で呼んでも誰も居ないので一人で練習をしていたら30分くらいして部屋から突然師匠が出て来て「ナビィ?いつ来た!!寝てて気が付かなかった」ってくらい爆睡していた時もありました。
また踊り手としての師匠は最近は一人で色んな仮面を付け替えて色んなキャラクターを踊り(演じ?)分ける”パジェガン”という仮面舞踊が得意で、家の敷地の悪霊を追い払う”ムチャル”という儀式によく呼ばれているので私も滞在中5回ほど観に行きました。
道化役、凛として知的な王役、高僧役、色んな役を踊り分けますが、とにかく師匠は足の動きがすごい。
バネもあるし粘るような動きもあるし、強いし、そして何と言っても足から沸き上がる空気のようなものが上へと伸び、胸、腕、指、首、頭と、全身に伝わり動きを作っているところがすごい!
「足の動き=踊り」とよく師匠が言いますが、そのと〜〜〜〜〜り!!
私もこんな風に踊りたい〜〜〜〜〜〜
悶絶したのは100回や200回どころではありません。
そして、やっぱり繊細な人なのねぇ〜と感じる踊りです。
私がへたくそなインドネシア語でタイトルの意味を説明したら葉っぱをモチーフにしたこの文字を書いてくれました。
小さな奇跡の連続が命の営みの中で延々と続きますように、という想いを込めたそうです。
それは、こちらは全然意図していなかった事ですが、日頃、寿[kotobuki]のライブ活動についての色んな話しをレッスンの合間にしていたので寿[kotobuki]っぽい感じを何となく感じ取っていたのだろうな〜と思います。
そういう繊細さや洞察力があるからあの踊り、あの絵なんだね〜と思います。
あまりに怒られ過ぎて(まぁ、私が言われた通りに出来ないからだけど、、、)最後は「オヤジ、うぜぇ!」と、反抗期の娘みたいな態度になったちゃったワタクシ(っても私の方が10歳も年上だけどね、、、、、)でしたが、最後までガミガミ怒りながらも教えてくれて、お寺での奉納もさせてくれました。
師匠、有り難うございました〜
タイトル文字をじぃいいと見つめると、あのアツい日々が蘇って来ます。
いい文字だなぁ〜〜〜〜〜
写真 左端が師匠。
お寺で仮面舞踊を奉納させて頂いた後に撮ったものです。