そのうちの一人、金子ぶーさんは寿町フリーコンサートの第一回目から実行委員をしている一人です。ぶーさんにはDVDのライナーノートに文章を書いてもらうことにしていました。
ところが、ある日、ぶーさんから「1995年の寿[kotobuki]初出演の映像が入っていないのは納得がいかない」と言われました。が〜ん!
僕が寿町フリーコンサートを撮り始めたのは1998年からです。1995年の映像は、当時、地元のCATV曲が撮影し放送していました。映像をDVDに収録するためには権利を持っている会社から許可をもらわなければ、後で問題になる可能性があります。
そして、20年近く前の番組ですので、会社も変わっていて、どこが権利を持っているのかわかりません。
そんなこともあり、今回のDVDは1998年以降、僕と土屋トカチくんなどのスタッフが撮っている映像だけでつくろうと思っていました。そのほうが映像のコンセプトも明確になります。
しかし、ぶーさんに「納得がいかない」と言われたままではライナーノートの文章も書いてもらえない。いや、それ以前に、関係者の中でも重要な人が「納得できない」と言ってる内容のDVDを出すのも難しい……。
たしかに1995年の映像は、凄いです。寿[kotobuki]が初出演なのにもかかわらず、音楽の力でぐいぐいお客さんを引き寄せていき、客席がわーっと盛り上がっていくのが、よくわかります。
ということで、映像の権利を持っているところを探して、なんとかすることにしました。
ぶーさんが1995年当時の事や、現在、会社がどうなってるかを調べてくれました。とはいえ、すでに別の会社に権利が移っていて、どこの誰だかわからない者から突然「映像を使わせてほしい」と言われてテレビ局が簡単に映像を貸すとは思えません。
幸いなことに、当時、放送された番組には、最後のクレジットに「制作・著作」として、テレビ局の名前とともに「寿町夏祭り実行委員会」の名前も画面に入っていました。
そこで、事情を話して映像を使用させてほしいと頼んだところ、担当の人もとても丁寧に応対してくれて、1995年の映像は、無事、DVDに収録できることになりました。
とはいえ、やはり本編に入れるのには全体の構成からも撮影のコンセプトからも違和感があります。
そこで、寿[kotobuki]の二人に1995年のことをインタビューしている内容とともに、特典映像のなかに入れさせてもらいました。特典映像のなかですが、1995年の「がじゅまるの木の下で」はノーカットで入れています。
この映像が加わったことで、DVD『奇跡の詩』をさらに充実した内容にすることができました。